2009年07月05日

息子が、嫁が、孫が..。

「もなかのマンドリン」

ここは芝のメルパルクホール。

私は近所のマンドリン仲間と4日の土曜日に、 大正時代6年に創設された楽団のマンドリン演奏会にやってきた。

並んでやっと中に入ると、瞬く間に会場は満杯。毎年の事だが二階もほぼ埋まってしまった。

「アンケートはこの紙でいいんでしょうかねえ」

隣に座るおばあさんが話しかけてきた。80歳をとうに過ぎているとお見うけした。

効かれたのをきっかけに、おばあさんと会話が進む。

「あのね、孫が指揮をするっていうですよ。ちゃんと出来ますかねえ...心配で、心配でー」

「まあ、指揮を!素晴らしいですね」

「長男と孫が、コントラバスっていうのを弾いていてね、その嫁がマンドリンを弾いているんですよ。そんでもって、私の三男も出ていてねえ...」

家族が4人も出演しているという。

私と仲間はプログラムを広げた。

「あっこの方達ですね」

90名ほどの名前の中に、同じ名字が四人載っていた。

おばあさんは頷いた。

「今日はお一人でいらっしゃったんですか」

たくさんの人に交じって並んで待っていた姿が浮かんできた。

「みーんな舞台に出てしまっているもんでね、...だから一人できたんですよ」

訥々と話す口調はこちらを和ませてくれる。

『音楽一家なんて..』

羨ましい、と思った。

幕があいた。

指揮者が紹介されると、隣のおばあさんが指さした。

私や横に並んだ仲間は、もう他人を観ているようには思えない。

「ねえねえ、お孫さんよ...」

小さな声で合図しあい身を乗り出した。

そして私達の視線はお孫さんの父親のコントラバスに移り、息子さんである三男の方のパーカッションへ...。

お嫁さんだけは大勢のマンドリンの中では判らない。

お孫さんは指揮を終えると、すぐに演奏者になりコントラバスの立ち位置に向かった。

その間、司会者が次の曲の案内をし、指揮者も入れ替わった。

「ほら、今度は親子で並んで弾くのね....」

名前まで覚えてしまった私と仲間は、周囲を気にしながらも頷き合う。

素敵な風景を見たと思った。

演奏は、クラッシックが有り、ミュージカルメドレーが有りとバラエティーにとんでいた。

その中で私が気に入ったのは、ゲストのギター演奏者の方が、美空ひばりの曲をオーケストラに合わせて弾いた場面。

20年前に亡くなった美空ひばりが、まるで舞台の上で唄っているよう。

声のふるえまで再現しているように聞こえた。

ふと、私は聴きながら思ってしまう。

作曲者って何て幸せなんだろう...と。

歌謡曲の美空ひばりの曲と大昔に作曲されたクラッシックを一緒にして考えるの間違いかもしれない。

しかし、素晴らしい曲ということは同じ事。

作曲者の伝えたい想いが、楽譜に織り込まれる。そして語り部のように演奏され続けていく。

何十年も..、

或る曲は何百年も。

もしも私が作曲者だったら、こんな嬉しいことはないだろうな。

さて、数回の休憩時間を挟んだ演奏会は最後の曲を終え、幕をとじた。

しばらく立ち上がるのに時間を要する。

「どうも、どうも、ありがとうございました」

おばあさんが丁寧に言葉をかけてくれた。

「来年もぜひ聴きにきますよ、またお会い出来るといいですね」

と声をかけた私と仲間。

もう二度とお目にかかることはないことは知っている。

でも、世の中は何が起きるか判らないのだから、奇跡というか、偶然もあるかもしれない。

演奏会を満喫した自分。

演奏が素晴らしかったのはいうまでもないこと。

でも、更に更に楽しめたのは、おばあさんの、おかげだ。

 



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2009年06月30日

粋な体重計

「もなかのフラメンコ」


[VOON] 大きな大人になっても..

太るのは簡単なのに、やせるのは何て難しいのだろう。

ちょっと食べ過ぎているかな?.でも、でも、と思いながら

体重をはかってみれば、...。

ああ、驚いた!

『こんなに動いているのに、おかしいなあ』

何度か、はかり直したけれど、数字は同じ。数キロ増えていた。

「まったく、もう...この体重計くるっているんじゃないの!」

私は乱暴に独り言をあびせた。

さて、27日、土曜日。

赤坂にあるお店、ノーベンバーイレブンスに向かった。

6月に幾つかあったフラメンコのワクワク。順々に終えていき、残された今月の最後の楽しみ。

心待ちにしていた。

踊りを観せてくれたのは、矢野吉峰・柏麻美子両講師先生のお二人。

冒頭、男性三人で円陣を組んでパルマを叩いたシーンから、私は圧倒されてしまう。

その後、お一人お一人の踊りや、パレハの踊りなどが続く。

すぐれた小説は、書かれていない行間からも情景が浮かんでくるという。

まさに同じ。

曲の合間からも、たちのぼってくるものがある。

そしてカンテ、ギター、踊り、パルマ。

「すごいなー」

感嘆しきり。

私はふと考えてしまった。

今までもたくさんの感動をもらってきた舞台やライブ。

一番記憶に新しいのは、21日に水戸で観た舞台がある。

これまで数え切れないほどの気持ちを味わってきたのに、ちゃんとそれを表面で感動するだけでなく、吸収してこれた自分だったろうか...。

そんな思いが、一瞬頭をかすめてしまったのだ。

何かを得ようとして..

何かを求めようとして..

舞台を観てきたわけではなかった。

でも、フラメンコを学んでいるのだから、少しでも吸収出来ていたとしたら、嬉しいことだ。

一年の半分が終えようとしているから、振り返ってしまったかも..。

さてさて、もしも、一つ吸収したら、1キロ体重が増えると言われたとしたら..。.

私はどんなに太ったって、体重計に八つ当たりなどしない。

むしろ喜ぶぐらいだ。

でも、世の中はままならないというから、

『太るのは難しい、やせるのは簡単』

と、きっとなってしまうに違いないなあ。

            脂肪より吸収肉を求めます



ayame1999 at 17:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!フラメンコ 

2009年06月25日

弦が織りなす風景..。

「もなかのカンテ」


[VOON] 丈夫になろう

楽しみにしていた6月の二つ目のワクワクが21日に終わった。

熊本に行けなかったぶんを、小旅行のつもりで仲間と上野から水戸へ出発。

今回は、とても天井が高い大広間のような舞台。踊りは、大きな舞台、少し広い場所、とても狭い空間と...、

その場その場で、様々な表情を見せてくれる。

それを観るのも楽しいものだ。

さて、23日火曜日の夜は、自分のことでドキドキであった「投げ銭ライブ」本番を、無事に終えることができた。 

自分が唄った曲だけを連ねてみると、一部はお師匠様である瀧本先生のギター演奏にのせて、

タンゴ

タラント

ソレア ポル ブレリア

二部は

黒田月水さんに琵琶伴奏して頂き、詩吟を吟じ、最後にベルデを唄わせてもらった。

カンテは毎週練習してきた曲の中から選べばいい。

心配なのは八年ぶりに詠う詩吟だった。

琴や尺八の伴奏は経験はあるけれど、これまで琵琶では吟じたことはない。

「大丈夫かな」

内心心配だった。

しかし、月水さんは、はじめは私の吟を静かに聴いていたけれど、またたくまに即興で、詩の中に描かれている風景を浮かびあがらせてくれた。

「ああ、なんて、贅沢なんだろう」

八年と数ヶ月前になるだろうか。いやいや9年になるだろうか...。

カンテのために長い間続けていた詩吟を遠ざけた私。封印していた。

それが、琵琶の情緒的な演奏で、時を経て新たに生まれ変わったような気さえしてくる。

新鮮さいっぱいに吟じさせてもらった。

最初は不安で仕方がなかったライブの参加。

それが、がらりと変わってしまう。

お客様の顔を見ると、

「あの人の顔が..、この人の顔も..」

思わず、ありがとう、と声をかけたくなる自分。

たとえ姿はなくとも、温かい声をかけてくれた人の顔も浮かんでくる。

ギターの音が私の横で聞こえ出すと、ぞくぞくしてくる。

琵琶の音色や語りが聞こえてくれば、姿勢をまっすぐに正す。

ギターと琵琶がコラボすれば、踊りたくなるリズムが生まれ、じっとしていられなくなる。

いったい、始まるまでの間、抱いていた複雑な気持ちは何処に行ってしまったのだろうか。

学べることは楽しい。

知らないことを教えてもらえるのは嬉しい。

未知の世界に導いてくれる機会を知ることは、貴重なこと。

表面は何も変わっていない私だけれども、確実に、頭の中と胸の奥を、今までとは別の私に変化させてくれた今回のライブに

両手で抱えきれないほど感謝。



ayame1999 at 02:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)この記事をクリップ!カンテ 

2009年06月20日

違いは融合の始まり。第405編

「もなかのカンテ」

金曜日の夜、マンドリンの仲間からメールをもらった。

「三味線の先生を交えた民謡仲間女性3人を連れてまいります」

と書かれていた。

私もカンテを唄わせていただくことになった23日の夜の投げ銭ライブ。

フラメンコのお教室の仲間には、お声をかけさせて頂いたけれど、マンドリンの仲間には話す機会がなかった。

でも、先週、ベースを弾く方と車中が一緒だったので、その折りライブのことを伝えたのだ。

「カンテも唄うんだけど、琵琶の演奏もあるのよ。語りも...」

「ふ〜ん、琵琶でスペイン語の唄をうたうの?」

「違うわよ」

知らない人はそう考えるものか、と私は思った。

「そうだ、三味線の先生と民謡を唄っている人達を誘ってみようかなあ」

べースの彼は、私の顔をのぞきこみながら言った。

「民謡..?????」

私は驚いて目を丸くした。

聞けば..

民謡を、今、まさに学び始めたばかりというではないか。

ギターを何十年も弾いている方でベースも弾きこなす人が....。まさか、という思いがあった。

彼は言った。

三味線の先生には琵琶の演奏やギターの演奏を聞かせてあげたい。

民謡を唄っている女性二人には、声をだす琵琶での語りとカンテをきかせてあげたい...と。

私は嬉しくなってきた。

ジャンルなんて関係ない、とよく言う言葉だけれど....。

私は、あのとき、ベースの彼の言葉を聞いていたうえ、

こんな純日本風の方が来てくれることを知った今、

フラメンコの唄を全く知らない人にも、耳を傾けてもらえるようにしておかなければいけないな、と思った。

それともう一つ。

先生は琵琶の音にのせて、カンテとは別の何かを考えているとのこと。(本当はすでに知っているけれど...。)

ちゃんと応えられる自分になれるように、こちらの方も、しっかり準備しておかねば、と気を引き締め直した私である。

                                                                   弦の張り声と胸張り大事です



ayame1999 at 02:29|PermalinkComments(3)TrackBack(0)この記事をクリップ!カンテ 

2009年06月18日

カルガモ

「フラメンコ&あれやこれや」

観るのが楽しみ、と記した13日土曜日のフラメンコ発表会。

たくさんの感動と刺激をもらえた舞台だった。

「よーし、これまで以上に先生達の指導を何一つとして見逃さないぞ..」

改めて、強く決心した私だ。

さて、話はがらりと変わる。

我が家の裏の方に大きなマンション群が建ち並んでいる。

毎年その中の水たまり場にいるカルガモが雨水調整池に引っ越しをする。

その道中、のら猫が、ねらっていることもある。

しかし、今年も無事に引っ越せた。

生まれたカルガモの赤ちゃん七羽。

朝早くから、入れ替わり立ち替わり、犬の散歩途中やジョギング途中の人達が、柵に顔をべったりとくっつけて、遠く下に見えるカルガモを見て顔をほころばすのも毎年の風景。

数日前のことだ。

「ちくしょー、カラスのやろう。絶対に許さないからな」

我が家の年長さんが怒りまくって帰ってきた。

カルガモを見守る人達の間で情報がちゃんと伝達していく。

「俺は、朝、6時半にはちゃんとみたんだ...。そのあとの時間だ。せっかく生まれた七羽のカルガモの子を、カラスのやつが...」

年長さんは声を荒げた。

「カラスだって、七つの子がいるだろうに...、母親の気持ちが分かるだろうに..」

カルガモのお母さんが、何処にいったんだー、と泣いて探しているのだ、と、益々語気を強くした。

「かわいそうに.俺はカラスを絶対に許さないからなっ。ちくしょー、、ちくしょー」

母親が泣いていた声を真似した。

その声をきくと私までせつなくなってくる。

「きっと、カルガモは知っていて悲しんでいるんだね」

私は、自分も柵にぴったりと顔をくっつけてカルガモの母親を観ている気がしてきた。

カラスよ、山に餌がなくなったのかい...。

カラスよ、人間が出すゴミをあさった方が楽になってしまったんだね.。

カラスよ、カルガモのお母さんを悲しませないでおくれよ...。

そんなにお腹がすいたのなら、我が家の犬、Pちゃんの餌をうばいにきてほしかったよ..。

             逮捕する誘拐犯のカラス達



ayame1999 at 01:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!フラメンコ