2007年09月09日
あちらにも、こちらにも
「もなかのフラメンコ」
火曜日の夜、レッスンを終えると私は売店で読売新聞の夕刊を買い、家路を急いだ。
「ネエ、読んでみて」
タダイマ、と言った瞬間に年長さんをせきたてた。ソファーに横になってテレビを観ていた年長さんはゆっくり起き上がると、ページをめくっていき、
「ああ、出てた出てた」
とテーブルの上に広げてくれた。
フラメンコ教室の先生ご夫妻の写真が大きく載っている。見慣れているお顔のはずなのに、新聞でみると別人のように思えてしまうのは気のせいか。けして写真写りの良し悪しを言っているのではない。
私は素早く眼鏡をかけると、顔を紙面にくっついてしまうほど近づけて読み出した。なんのことはない、年長さんを急きたてたのに結局は私から先に読んでしまう。
「大挑戦」純粋フラメンコ、
と見出しが書かれ、今月の末に草月ホールで公演される内容が案内されている。両先生のほかにいつも指導してくれるお二人の先生の名前も記載されていた。そして舞踊団の人達の踊りはそれこそクライマックスの重要なところを踊るということが書かれていた。
私は初めて知ることもあり、「へぇ〜」とか「ふ〜ん、そうだったんだあ」などと声に出してしまう。
これまでも純粋なフラメンコの公演もあったし、レッスンにおいても、ものすごく濃い味付けの純粋のフラメンコを教えてもらっている。しかし、『フラメンコ曽根崎心中』は、フラメンコの踊りに感心がないお客様も、東京の舞台はもちろんのこと、地方の舞台にも大勢足を運んでくれた。そういうお客様に対しての意味も込めて、新聞には「大挑戦」純粋フラメンコ、というタイトルがついていたのかな、と私は想像した。
「すごいわね、こんなに大きく載って」
今度は年長さんが読んでいる最中のところに、私は横から口を挟んでしまう。この記事をどれほどの読者が読んでくれたのだろうかと思った。フラメンコ関係者だけではない多くの一般の人たちの目にとまる機会。
先週の水曜日にコンペが終わり諏訪湖に向かっている途中だったと思う。(もしかしたら翌日、戻る途中の夕方だったかも)NHKのラジオからゲストの阿木燿子さんの声が聞こえてきた。
「ねえねえ、皆聴いて、フラメンコ曽根崎心中のことを言っているわ。私が通っているお教室のことを話しているわ」
隣の人の腕を思わず叩いてしまった私。
「お願い、ボリュームをもっと大きくして...」
とても雑音が入って聴き取りにくい。舞台上で唄われる歌が流れていた。
「ああ、この歌の場面はね...」
夢中になって私は情景を説明した。
阿木燿子さんは作品に対しての思い入れを語り、聞きなれたお初、徳兵衛、九平次の名前も出てきた。もちろん群舞についても。出演者達の踊りがいかに素晴らしいかを柔らかな声で話していた。このアナウンサーとの二人のやりとりを、数え切れないほどの人達が聴いていたに違いない。運転しながら、或いは手仕事をしながら、病院のベッドで、自宅で...........と、きりがない程の大勢が。
作品に対しての話題がフラメンコの踊りの情報をも聴き手に与えてくれている。
今回も同じだと思った。記事がきっかけになり、フラメンコの踊りに興味を抱く人が何人も出たかもしれない。前々から「習ってみたいな」と思っていた人は、背中を押されたかもしれない。
そう思うと嬉しくなってくる。
宮里藍ちゃんや桜ちゃん、アマの高校生の石川遼君でゴルフ界は盛り上がった。ハンカチ王子の斉藤君で大学野球の観客数が増えた。関心なかった人達までが知っている。
外に向かってフラメンコという踊りを発信出来ることは素晴らしいこと。フラメンコ界にだって、あちらこちらにいる。
教えてあげたいな....。
『姫もいる フラメンコ界 王子もね』
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この記事へのコメント
先生たち・・・舞踊団のメンバー、そして、スタジオの仲間たち・・・・。
本当に私にとっては宝物だなぁと、心からそう思いました。
優しく熱く、いつも応援してくださり、舞台を見つめてくださり、本当に嬉しいです。
ありがとうございます!!
草月ホールに向けて、精一杯頑張りますね!
正直に思ったこと、感じたことをいつものようにダラダラと書いただけなのに。
きっと私には想像がまったくつかない、厳しく激しい練習なのでしょうね。
そしてしつこいかもしれないけれど、
「楽しみにしています」
今日はまたおばさんシンデレラで帰宅しました。
おやすみなさい。
