2008年04月16日
ニャオ、フー太君。
「もなかのあれやこれや」
木曜日の正午に友人の家に着いた。リビングに入ると猫のフー太君が出迎えてくれた。
「フニャ?ニャン?クンクン」
私にすり擦り寄ってきて身体をこすりつけた。我が家に結構大きな犬がいるので、においを感じるのだろう。
「ちょっと待っててね」
彼女はコーヒーを入れてくれると昼食のスパゲティをこしらえ始めた。私は背中に向かって、あれこれ機関銃みたいに喋り続ける。
彼女は手を動かしていても、時々振り返りながら相槌を打ってくれた。
「いただきまーす」
「味はどうかしら?」
私は目をまん丸にして合図する。美味しいに決まっている。
お互いが忙しい身、こんなにゆっくり出来たのは久しぶりのことだ。平塚にいる足長夫人もここにいれば三人組になれるんだけど。
「この頃はどんなお手伝いをしているの?」
彼女はボランティアを昔から続けている。あまり自分から口に出さない人なのでこちらから訊く。
「○○の近くの作業所でね...」
身体の不自由な人、神経の病にかかっている人、様々な問題を抱えながらも必死に社会に出て暮らせるよう作業所で頑張っている人達がいる。最近の彼女は作業所に通ってくる人達に接している。
この私に何かお役に立てることがあるのなら、という気持ちで地味に、地道に、何年も何年も。
それに比べて私は....。
ちょっと考え込んでしまった。すると彼女は
「あなたはいいのよ、あなたのやり方で..」
そして、もう充分やってきたんだから、と言ってくれた。何十年も私の全てを知っている彼女はそれ以上多くは言わない。
私が元気にフラメンコを踊ったりカンテを唄うことは、家族をも元気にしてしまう、それもボランティアよ、という言葉も言ってくれた。
時間が過ぎ去り、その日の夜の夕食時のことだ。確か7時半からのクローズアップ現代という番組だったと思う。
アメリカで頑張っている井上玲奈さんというアイススケートの選手が紹介されていた。父親と同じ肺ガン、そしてその次は練習中の事故で頭蓋骨骨折。それでも
「あきらめない」
という言葉が印象的だった。
ファーストキッチンみたいなお店で働いている姿、自分で衣装をこしらえていること、リング場でパートナーからプロポーズされていた場面。すべてが釘付けで、行儀悪く私のお箸は宙に浮いたままだった。
何人かの同じガン患者の方が井上玲奈さんの姿に励まされている場面も映っていた。
『そういうことなんだ...』
私は昼間に友人が言っていた言葉の意味に気がつく。ひっしにひたむきに頑張っている姿。それを観ている私や年長さんまでが、元気をもらえている。
そうだ!
フー太君も、私にボランティアをしてくれたことを思い出す。
すごく癒されたもの。
『あなたの眼 あなたの両手 温かく 』
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