2008年06月07日
下北沢の昼..編
火曜日のミセスクラスの時間、私はいつもより早くフラメンコのスタジオに到着した。
軽やかに練習着に着替える。あとはフラメンコ用のシューズを履けばいい。キャスターカバンを再び開いた。
『あれ...?』
どうひっくりかえしてもシューズは出てこない。
裸足でなんて、絶対に嫌だった。上体だけのレッスンではもったいなさすぎる。家に取りに行こうと、あわててすぐにお教室を出る。
『しかし待てよ....』
歩きながら往復の時間を考えると溜息をついてしまう。
すぐ近くの駅、池ノ上の階段を上がればいいのに、曲がらずとぼとぼと下北沢の駅に向かっていた。そして路地を折れ、商店街に向かう。
二日前の夜に見た下北沢の光景とは違う空気が漂っている。まだ開いていない店もあるからだろうか、何処か、気怠るさが感じられる。
といってもすでに午前11時を廻っていたのだけれど...。
店頭に並べられている踵がしっかりした黒いヒールに目がとまった。とても安い。何回もほしいな、と思っていたけど、今あるもので...と、我慢していた。それが、恋人に出会った気分で迷わず手にとっていた。
というわけで、逸る気持ちで教室に戻った私は、輪ゴムを靴ベルト代わりに使い、無事、レッスンを受ける事が出来た。
でも、自習ぐらいならいいけれど、レッスンで本格的に足を打とうとすると、軽すぎてバランスがとれない。何回もよろけそうになってしまった。
レッスン後のことだ。
「私のが履けたら、貸してあげるから夜のクラスで履いたらいいわ」
ミセスクラスの私と同じ小柄な仲間が水玉の袋を渡してくれた。
身体の横幅は私と違い細いのに、足はぴったり。裏皮だからのびていたのだろうか。
シンデレラおばさんでなくて
『よかったー』
ガラスの靴だったら合うはずないもの。
さてさて、本当は、火曜日の二日前、日曜日のことを書きたかったのに話が前後してしまった。どうしても心に残った二つのことを記したい事がある。
明日にでも「下北沢の夜編」として書こう。
『やっと買えた 我慢していた 黒ヒール 』
[VOON] 下北沢の昼
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