隣の車両へ..第610編何もいらないから..。

2011年12月21日

ごめん..やっぱり変わったね.。

           「もなかのマンドリン」
日曜日
はマンドリンクラブの忘年会だった。
反省や抱負、最近夢中になっている事等を、順番に述べていった。

ベースの人が
「マンドリンの原点でもあります、リュートに挑戦しようと思っているんです..」
遠慮気味に云う。
途端に、
「弦は何本あるの?」
「どんな形をしているの..、バラライカみたいに平べったいの?」
質問が四方から飛びかう。

話はどんどん広がっていき、楽器の制作についてまで及んでいった。

例えばスペインの高価なギター
はたして、湿気が多い日本に持ってきて、そのままいい音色が出るか....?

「ケースの中に入れておく、乾燥剤があるじゃないの」
女性の一人がいえば、そんな簡単な事では済まないと却下されてしまった。
家の中の温度まで気を配るとのこと。
もっとも、目玉が飛び出る程の高級な楽器の事だろうけれど。

「どうして、マンドリンはマイナーなイメージがあるのかしら....バイオリンオーケストラに入っているのに..」
女性の一人がつぶやいた。

「調弦がくるうからですよ。バイオリンは弦が緩んでも、自分の指で音を調整しながら演奏出来るでしょ。でも、ギターやマンドリンはフレットがあるからね..」
誰からというわけでなく、男性陣の口が一斉に開いた。

「そうそう、日本の作家さんの楽器もバカにしちゃいけないですよ」
思い出したように云ったのは、日本酒を呑んでいたマンドラを弾く男性。

「ちゃんと気候に合わせているし、何より、日本人は器用なんだから」
私はその人が新しいマンドラを求めた時の、
「音色に一目惚れ」
した経緯を思い出し、頷いた。

話が一巡するとクラブの歴史話に花が咲く。
「25年じゃないよ、名前が変わる前も入れると、もっとだよ」
「キャー、いやだわ、みんな年をとるはず」

会長さんが当時からいる私と数人の女性に向かって
「でも、本当に昔と全然変わらないね、いつまでも可愛らしくて...」
何て優しいんだろう。
こんなおばさんになった私達に。
くすぐったい程のお世辞でも、感激。

二次会のスナックで、隣に座った優しい言葉をくれた会長さん。
私の耳元に囁いた。

「さっきはああ云ったけど...ごめん。やっぱり..」
ちよっと間があいた。
「◎◎さん、やっぱり変わったね。ウン、ごめん」
遠い別の顔と比較でもしているのか、私の顔をまじまじと見た。

「何さ、わざわざ訂正しなくても、鏡を見ているんだから解っているわよ!」
掌で背中をバシバシと叩きたくなった。

でも、叩けない。
この方だけでなく、他の男性陣も、誰に対しても親切なのはずっと変わらないこと。
叩けるはずないよー。
『お願いよ お世辞を言ったら 撤回無し』


ayame1999 at 11:45│マンドリン 
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