きっと明日はいい日...。静まりました..。

2012年05月22日

発表会を終えて...。

              「もなかのフラメンコ」
中野ゼロホールにてのフラメンコ発表会が終わった。

本番という終着点に到達する為の方法を、目には見えない地図の上に、綿密にルートを書き続けていたつもりだった。

それなのに...、

人生と同じ。
アクシデントがあったり、
思ってもいなかったことをしていたり。

例え他人には判らなかったとしても、自分にとっては悔しくて地団駄したくなることがある。
まあ、その思いを繰り返しているからこそ、続けてこれたのだろう。

終えた今は、振り付けから構成、そして最後の最後まで妥協せず、少しでも良くなるように...、
と指導してくれた先生方に感謝、感謝の気持ちでいっぱいだ。

本番を過ぎるまでは..との思いで書くのを控えていた曲名は
カラコレス
ティエントス
ペテネーラ
この三曲を踊った。

長い裾をエレガントに使いたいと必死だった、バタデコーラで踊ったカラコレス。
転ばないように...、
仲間の裾を踏んで迷惑をかけないように...、
細心の注意を払いながらも、そんな気配を感じさせてしまわぬように、と練習した日々。

終えてみれば、長い長いスカートが懐かしい。

最後のタンゴで賑やかに、そして楽しく踊ったティエントス。
自分にとっては、スリル感いっぱいだった。
きっと長い間、忘れられない振り付けの曲になるに違いない。

独りで唄いながら踊ったペテネーラ。
私の身体の中に、ペテネーラという女性が奥深く入り込んでしまったようだ。

舞台が終わっても、目が覚めると唄い、化粧室やお風呂に入ると唄ってからでないと出てはこれない。
ついでに頭の中の足はコントラの部分を踏んでいる。
どのくらいの月日を経たら、この習慣は消えるだろうか。

特に大好きな宝の曲が、また一曲増えたということになる。

そして私は欲張りなようだ。
唄も踊りも細かく教えてもらったこのペテネーラ。
両腕で胸の前で抱きかかえ、当分誰にも見せたくなくて隠してしまいたい。

さてさて打ち上げは一次会で失礼し、近くのホテルに泊まり、昼近くに自宅最寄り駅に到着した。

大きな荷物は送ったから身軽。
信号を渡ろうとすると、時々しか利用しないけれどバスが停車していた。
バス乗り場に戻り、吸い込まれるように乗り込む。

背中に何か背負っている女性が乗り込んできた。
あれ?
マンドラを背負った、地域のマンドリンクラブで一緒の仲間だった。

『そうか〜今日は合奏練習日だったんだ..』
でも、それにしては早すぎる時間だ。

訊けば、いつもより早く家を出て電車にそのまま乗って来てしまったのだという。

「フラメンコの舞台だったのよね〜あんな激しいステップ踏んで、あなたよくやるわね〜」
「まあ、好きだからね..」
以前マンドリンの余興で踊った事があるので、その時の事を言っているのかと思った。

「でも、本番に間にあってよかったわー」
「......?」

「エッ、もしかして..来てくれたの?」

チラシだけは渡していた。
でも、遠いし、用事もあるからと確か云っていた人だった。

「その日にならないと判らないから黙って行ったのよ...」
いつもの言葉の通り、ぶっきらぼうに言う。

覚えている衣装の色や特徴で、何人かの感想を聞かせてくれる。
さすがに疲れていた私は、練習は欠席するつもりでいた。
でも、思いがけない人が、遠路はるばる来てくれた事を知ってしまっては、さぼるわけにはいかない。

歩こうと思っていたのに、吸い込まれるようにバスに乗り込んだ事。
出会った事が不思議な時間。
偶然が重なった。

というわけで、いつもと変わらず五時までみっちり合奏に参加。

家に帰ると頂いたメッセージ等を開き、ちょっと涙腺が緩んでしまう。
そして客席に足を運んでくれた人達の顔を思い浮かべる。

心から
「有り難う」
と呟いたしだいだ。



ayame1999 at 17:32│フラメンコ 
きっと明日はいい日...。静まりました..。