2013年04月28日

気付かないうちに深く..深く。

長年の間、牛乳を配達してくれていた店主が亡くなった。

数ヶ月前に店を閉めることに決まったとき、私は支払いを済ます為、店を訪れた。
「長い間ご苦労様でした」
と、店の夫妻に声をかけると、これでやっとゆっくり出来るという安堵感の表情が返ってきた。
あの時の、明るさいっぱいの顔がはっきりと浮かんでくる。

神様は意地悪だ。
やっと休めると喜んでいた人を病に突然引き込んでしまうなんて。

夜明け前。
眠りが浅い時、枕元に響いてくる軽トラックのエンジン音で目を覚ましてしまった事が何度もある。

布団の中でじっと、次に聞こえてくる音を待つ自分。
「バタンッ」
ドアをしめる音。
次は、遠ざかっていく車。

一連の音が聞こえなくなるまで、特に冬の時期には、寒さを思い出さぬよう顔を布団の中に埋めた。

或る時は
「こんなに朝早くから、◎◎さんは今日も頑張っているんだなー...」
と、やる気を起こさせてもらったり。
或る時は
「あー、エンジン切ってくれればいいのになあ...」
と、うるさく思ってしまったり。
自分のその時の心次第で、感じ方が違う。
鏡のように心の中を映し出す。

気が付かなかったけれど、夜明け前に牛乳を届けてくれた車の音が、歴史を刻み込むように、こんなにも深く深く食い込んでいたなんて...。

さてさて、ちよっとしんみりしてしまった私だけど、とても晴れやかにしてくれた事もある。
代々木上原で観た、お世話になっている講師先生の初リサイタルと、鼓堂×FLAMENCOの二種類に続き、加えて題して、
「直球フラメンコ」を観てきた。

チラシには怒濤の..と書いてあった。
でも、静かに静かに胸の中に食い込んでいる。

直球とは、野球の球筋かなあ。
ゴルフでクラブを振った時の球筋かなあ。
どちらにせよ、けして怒濤の激しさで流されぬように、深く深く胸の中に入った次第だ。

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 「直球フラメンコ」
カンテ:マヌエル.デ.ラ.マレーナ
     ホセ.ガルベス
ギター:マレーナ.イーホ
     斉藤 誠
踊 り :鍵田真由美、佐藤浩希
     矢野   吉峰、 柏麻美子



ayame1999 at 01:53│ あれやこれや | フラメンコ