普通のおばさんになりたかったけど
2006年08月20日
時を越えて...。
金曜日に、玉葱と寒天の効能を奨めてくれた友人Oさんと、もう一人Fさんが加わって互いの中間点の駅で落ち合う。
Oさんがちゃんと予約入れておいてくれたおかげで、昼間なのに何だが夜の席に行ったような、お酒が似合う、豪華なお店に案内され、個室に通された。
「すごいじゃないの!」
「ほんとね、何だが隠れ家みたい」
私は、おのぼりさんみたいに、キョロキョロと部屋の中を見回した。
Fさんとは会う機会が結構あるけれど、三人が一緒というのは、年に数回だけ。それでも一旦顔を合わせると、前回の日からの延長のように会話が進む。
「はい、かんてんパウダー持ってきたあげたわよ」
Oさんが根こんぶ粉末入りのものを私に差し出した。
それをきっかけに、ひとしきり健康の話題に話が咲いた。
昔は、愛情、についてや、映画、舞台、好きな芸能人の話、家族の話題が多かった気がするが、ずいぶん最近は様変わりしている。
「ねえ、私達って、もうどのくらいになるのかしらね」
あの時はあの場所にいて、それからあの職場に入って...と、様々な歴史を思い出しているのだろう。それぞれの思い出をたどりながら指折り数えた。
「二十七年よ」
三人の口から、ほとんど一緒に出た。
「きゃー、やだやだ」
これでは話す内容も変化してくるはずだ。
時を越えて、様々なことが思い出されてくる。
Oさんは社交ダンスの◎級のプロ級の持ち主。それでも毎日ダンス教室に通っている。どんなに指導する立場になるよう奨めても、習う楽しみの方が大好きだから、といって、日々の努力を怠らない。プロポーション抜群。
Fさんは学校、図書館、大学病院へ、「お話会」で素敵な朗読や、身振り手振りの「語り」などを子供達のために長年続けている。竹下夢二の絵のモデルみたいな楚々とした女性。
私は、ご存知、フラメンコ命の飛んでいる状態。
「とてもOさんも、Fさんも、普通のおばさんじゃないわよ」
褒め言葉のつもりだった。井戸端会議や、女性特有の諸々のことがない二人だからだ。
「あら、あなただってそうよ、フラメンコいったい週に何度習いに行っているのよ」
残念。私の場合は、褒められているのではない。
さてさて、もりだくさんに話は続いた。
今度三人が一緒に顔を会わせるのは、「フラメンコ曽根崎心中」の舞台のときだ。
銀座に出よう、と約束し帰宅した。
その日の夜のことだ、
「△△ちゃん、元気でいるの?九月に入ったら会おうね」
小学校四年生からの幼ななじみからのメール。
電話はしてきても、めったにメールなどしてこない相手だ。
多くの人がお盆に帰省するのと同じ、この時期だから私を思い出したのかもしれない。
まだ、生きているんだけど。
冗談はともかく、実はこの幼ななじみも、Oさん、Fさんも、病をくぐり抜けてきた。特に幼ななじみは、長い間二ヶ月ごとに難病のため、病院と自宅との生活を繰り返してきた。それがここ数年、入院してしないのだ。
だから、こうして会えることがすごく嬉しい。
みんな、いつまでもいつまでも、元気でいてほしい。